あなたはいまマイホームにお住まいですか? それとも賃貸住宅にお住まいでしょうか。ちなみにぼくは賃貸住まいで、これからも賃貸に住み続けるつもりでいます。
2012年度の国土交通白書によると、40歳未満の若者の持ち家比率が1983年から08年の25年間で42.2%から28.4%へと約14ポイント低下した、そうです。ぼくも40歳未満の若者なので、この数字には低下の影響を与えている側かもしれませんね。
ぼくも、マイホームの購入を考えなかったわけじゃないんです。そのタイミングが一時あって、そのときに車にしておいたからよかったなあって、今になっては思うんですけどね。
そのタイミングっていうのが、結婚と子どもの誕生です。多くの人たちがこの時期にマイホーム購入を検討されるのでしょうね。ふらっとモデルルームやモデルハウスを見に行くと、百戦錬磨の営業からちょっとたどたどしいけど感じのいい若手営業まで色んなタイプの営業さんがあれこれと上手に購入をすすめてきます。
大体は購入して住んだときの素晴らしさをイメージさせるような感じでしょうか。あとはローンの部分で年齢の若さを利点として訴えてくることもありますね。極端に言えば、あと30年払うとすると、今買っておかないと大変ですよ。いくつまで働きますか? 的な。
マイホームってね、一説によると衝動買いが多いらしいですよ。なにがなんでも将来はマイホーム! と決めているひとも相当いるとは思いますが、ある程度の普通の収入があれば頭金なし、ボーナス払いなしでもローンって組めちゃいます。特に土地が安い地方になれば月々の支払いは相当に安くなるでしょう。
そういう安価な住宅をすすめる営業は、家賃をあと30年払い続けるといくらになると思いますか? みたいなことを、この世の終わりが来ることを知らなかったのですか、とでも言わんばかりの顔で伝えてきます。でもご安心ください、その家賃のお支払い分をローンに回すことができれば、マイホームを購入できるんですよ、と今度は救いの手を差し伸べる天使のような無邪気な笑顔で解決策を提案してきます。
念のために言っておきますが、住宅営業が嫌いなわけでもないし、住宅営業の知り合いは個人的にたくさん知っていて仲良くしています。
ただ、リスクについても同様に理解してもらうべきだとは思います。万が一、震災が起きたらどうなるの? とかね。ぼくが展示場をまわっているときは誰もそんなリスクを伝えてはくれませんでしたから。2011年の震災によって、いまは震災に対するリスクに敏感だから、そのへんのセールストークも考えられていることとは思います。
でも根本的な解決はできないと思いますよ。日本の住宅購入時にはリコースローンってのはどうにもならないわけですから。これって、小さいころからすごく疑問だったんですよね。家を建てた瞬間に、その価値は購入額よりも極端に下がってしまい、年々価値は下がり続けるという。それなのに、ローンの金額は変わらないし、たとえ家を手放すことになったとしても、その売価に関係なくローンは存在し続けるなんて。
保険に入っていれば、死亡によってローンをチャラにすることはできますが、マイホームの購入と命の価値が等価だとは、ぼくは思いません。
でもね、買う側がこれだけのリスクを負うって事は、それだけ得している人がいるってことですよ。その貸し付けをしている金融機関とかね。住宅業界はその大きな力によって保護されている部分があるので、本当は危険なマイホーム購入という高額の借金に対して、社会的にネガティブな印象になることはないだろうと思います。
しかし不思議なことに有識者の見解を聞けば、多くの方々が賃貸をすすめるのではないかと思います。これは、社会的に当たり前とされていることが実はそうではないっていう一例なんじゃないでしょうか。
家族ができたらマイホーム、、なんてのはもう神話の世界です。
これから土地の価格が下がって適正な価格で取引されたらいいですけどね。なかなかそうはならないと思いますが、ゆるやかにその方向には向かうんじゃないでしょうか。人口に対する住宅事情としては、すでに飽和状態にあるわけなので。